年越しの準備
ここは日本に比べて暖かいところだけどそれでも朝晩は薄めのコートをひっかけるようになった。
日本から持ってきたモコモコバッグもようやく先々週から登場している。
日本からの荷物はほとんど食料で、荷造りは取捨選択でいつも格闘なのだけど、少しでも気分を盛り上げたくて冬用のバッグを無理やり詰め込んだのだ。
それでも日本のように寒くないのでなんとなく冬気分が盛り上がらないのである。
今年は何年かぶりにこちらで年を越す。
いつもは年末に帰って日本でお正月を過ごすので今年はなんだか取り残されたようでピンとこない。
ヤフーニュースでイルミネーション点灯とか誰かが紅白落選とかの記事をみてもフーンと他人事だ。
中国は元旦ではなく旧正月をお祝いする。年々正月感が薄れていく日本に比べ、場所にもよるが結構盛大な気がする。
爆竹を延々ならし、花火が上がり、おめでとうのメールが知らない人から次々に入る。
最近は大きいスーパーは開いているけど、小さいスーパーや市場はいまだに閉まっている。四年前に長沙で旧正月を過ごしたが、当時はどこもかしこも閉まっていて、買い出しに行くのをすっかり忘れ結構困ったことを思い出す。
旧正月になんのなじみもない。今年は帰国できない分中国で正月気分を!とはなれないのである。
そんな中国生活で年末感を感じるものがある。正確に言うと感じてしまうものがある。
それは・・・ドロボー。
先日、ボンドさんのアイパッドが盗まれた。
通勤バスの中でどうやらやられたのではないかということだが、はっきりは分からないらしい。
日本も時折ニュースで聞くが、年末は泥棒が多い。日本の泥棒も中国の泥棒もいい正月を迎えたいからだ。
しかし中国の泥棒は日本より数百倍たちが悪い。とっても大胆だし技術も高い。
数年前友人がバスに乗っていた時、背後から少しだけ気配を感じ、何気なく振り返ったら自分のかばんに菜箸みたいに大きくて長いピンセットが滑り込んでいて、その時まさに物を取られようとしていた瞬間だったらしい。
そんなピンセット、他の用途が思いつかないので恐らく泥棒用である。
泥棒用ピンセット・・・どこかで売っているのだろうか。
結果的に見つかってしまっているので、とびきり大胆ではあるけれど技術が高いとは言いがたい例をあげてしまった。
とにかく、ピンセット事件は置いといて、チャックがないカバンや服のポケットに貴重品を入れてバスに乗ろうもんならいつのまにか無くなっているのだ。
スリってすごいなぁとちょっと感心する。ライナス・コールドウェルが中国にもわんさかいるのである。
ボンドさんのアイパッドがとられて数日後、友人がバイクを盗まれた。
給料が出てバイクを買ってその次の日に取られてしまったらしい。かわいそすぎる。中国人たちの話によると買ったお店も怪しいらしい。売って、盗りにいくのである。
この話を聞き、いよいよ来たかと思うのである。
そう、年末!泥棒が多い年末が来ました!
部屋に戻り、さっそくモコモコバックから荷物を取り出し、リュックサックに入れ替えた。このリュックサックをエルゴのように持ち、目を離してはいけない。
日本からこの度來中したモコモコバッグはチャックがないため二週間ほどでお役御免となったのである。