ShanShanの備忘録

中国生活6年目で日々思うこと

代償

 

何かを得るには何かを犠牲にしなければならない。

物を得るためにお金を払う。お金を得るためには才能や労力、時間を払う。

 

最近違う種類の犠牲を意識するようになった。

 

中国人たちに馴染むため、ストレスなく暮らすために犠牲にしているものがある。

 

 

親からはいつも他の人を優先するように教えられた。電車に乗る時は、降りる人が先、そして先に並んでいた人が順番に乗っていく。当たり前の事だ。わたしは自己主張の街大阪で育ったのでこの点では全国基準からすれば低いところにいるかもしれないという自覚から、日本にいる時は特に意識していたつもりだ。

 

そのマナーを携えて中国に来たばかりの時はいつまでたってもバスに乗れなかった。道を渡れなかった。他の人を優先していたらいつまでも自分の番が来ることはないことを知った。

 

そうして気が付くとわたしも遠慮しながらも時々他の人を追い抜いてバスに乗るようになり、道も中国人より上手に渡れるようになっていた。

 

去年の夏、関西空港に降り立ち、かなり疲れていたけど日本に帰ってきたという安堵感とワクワク感に浸りながら電車を待っていた。が、ようやく来た電車にいの一番に正面から乗り込んでしまったのだ。そんな自分に気が付いたときは本当に自分にガッカリしたしビックリもした。とうとうわたしもこうなってしまったかと疲れた頭で考えていた。

 

やっぱりこんな自分は嫌だ。これを許すといずれもっと大切なものを失う気がする。

 

そんな思いで毎回戻ってくるのであるが、一週間もすれば生きづらいのに気づく。

親からもらった価値観をちょっとだけ犠牲にし、今日もバスに勢いよく乗り込むのである。