ShanShanの備忘録

中国生活6年目で日々思うこと

幸せな機能

 

慣れとはこわいものである。

 

ここ中国でとても気に入っていたミルクティーがある。日本のようにジュースの種類は多くないしおいしくもない。でもそのミルクティーはミルク感が濃くて甘さもちょうどよくて毎日買って飲んでいた。

 

日本ではいつも紅茶花伝を買う。午後ティーよりおいしいと思う。

なので日本滞在時はさんざん紅茶花伝を飲み、飛行機に乗る前も売店で紅茶花伝を買い込んで帰ってきた。リプトンの500mlミルクティーも大好きだがあいにく免税店には無い模様。

 

買い込んだ紅茶花伝を飲み干した頃、久しぶりにお気に入りの中国産ミルクティーを買って飲んだ。が、なにかが違う。あれ?もう一口飲んでみる。美味しくない。というかまずくて飲めない。こんなものを毎日喜んで飲んでいた自分がかわいそうになった。

 

なぜあんなまずい紅茶を喜んで飲んでいたのか分からないまま時が過ぎ、先日日本人の友人とマクドに行った時答えを見つけてしまった。いつものセットを頼んで食べていた時、友人がボソッとつぶやいた。

『この味にも慣れちゃったなぁ。』

 

中国のマクドのメニューは独特だ。フィレオフィッシュ以外何を頼んでも独特の香りが付いている。あれはクミンかなんかのにおいなのか?いまだよく分からないが、最初食べた時はぞっとした。なんとかごまかしながら食べきった。それが今ではわたしの味覚がこれを普通に受け入れてしまっている。そこではっと思ったのである。あのミルクティーが美味しかったわけじゃなく、わたしの舌がバカになってしまっていただけだった。わたしの味覚が中国のレベルに合わせてきたのである。

 

昔ネパールから一時帰国した先輩のエピソードを思い出す。ネパールのクッキーみたいなお菓子を「これ、むっちゃおいしいねん」と一言添えてみんなに配っていた。ところがそのむっちゃおいしいはずのクッキーはむっちゃまずかったのである。この先輩の舌もバカになっていたと思われる。

 

人間の体はすばらしい。環境に必死に順応しようと知らないところで頑張ってくれている。かつてまずいと感じていたものをやがて受け入れ、そして美味しいと感じさせてくれるまでになるのである。もし、この機能がなければ中国生活は大変なことになる。この機能のおかげで、ここでもそれなりに食事を楽しみ、帰国時にはみんなより数倍の感動を味わえるのだ。

 

あれから中国産ミルクティーに手を出していないが、そろそろわたしの舌バカ機能はいい感じに温まっているはずである。

またあの時の幸せを感じさせてくれるかもしれない。

 

外の素人カラオケ大会や爆竹の音を聴きながらそんなことをぼんやり考え新しい一年をはじめるのである。