鳥インフルエンザ
友人がインフルエンザに感染したらしい。
そういえばつい最近、「この街でも鳥インフルエンザが流行しはじめているので注意しておくれ」というメールが政府から携帯に届いていた。となりの区では鳥類販売禁止になったと聞く。
わが区ではまだ販売されてはいるがわたしは豚肉を食べ続けている。
そこで心配になるのが鳥を売って生計をたてている人たちの事である。わたしが心配したところで彼らはなにかしらたくましく生き抜いていくであろうが気になるのである。
最初中国に来た時、びっくりしたことの一つは、鳥にまつわることである。
バスに乗っていて足元がもぞもぞするなと覗いてみると、赤いとさかを付けたニワトリがメッシュの汚い袋にゴロンと入れられていてわたしの脚めがけてもがいていた。その袋をおじさんが乱暴に振り回してバスを降りていく。
ある時はバス停で待っているとアヒルやカモの束を荷台に積んだバイクが通り過ぎる。彼らの足を生きたまま縛り、束にして荷台をまたいでこちら側とあちら側につるすのである。排気ガスが彼らにあたっているではないか。思わず目をつぶってどうしようもない感情を押し殺す。
わたしは鳥が好きだ。昔、十姉妹や文鳥やインコを飼っていたことがあるので鳥類をこよなく愛している。彼らはあんなに小さな脳みそしか持っていないのに非常に賢いし、性格もちゃんとあるのだ。鳥のグッズを集めてしまいたくなるくらい彼らを身近に感じている。
なのに中国ではこの仕打ち。もちろんわたしも鶏肉を食べる。でも不必要に苦しむことなく一気に殺してくれているだろうという期待の下感謝していただいている。
なのに、なのに、中国でのぞんざいな扱いを見たときショックであった。かわいそうで胸が痛い。そしていつからか、ぞんざいに扱われている鳥が目の前に現れる時は心が無感覚になった。目で見てはいるが心にはモザイクがかけられている。そんな技術まで身についてしまったわたしの中国生活。
鳥をぞんざいに扱っているおじさんたち、元気であろうか。そんなことをふと思いめぐらした夜だった。
友人に心よりお見舞い申し上げる。