ShanShanの備忘録

中国生活6年目で日々思うこと

胃痛

 

私は胃痛持ちである。

 

ここにもし突然、問診票の持病欄が現れても、なんの迷いもなくスッと“胃痛”と書くであろう。なんなら、氏名の欄に胃痛と書いてしまうかもしれない。

 

1ヶ月に1回くらいは胃痛に苦しむ、太田胃散にお世話になりっぱなしの人生を歩んできた。

 

こんなことを誰かに言うと、検査をするように勧められたり、中国人に言おうもんなら、変な漢方や中国伝統の治療法を勧められたりするのであまり言わないのだが、中国生活により人一倍心配性になってしまった私は、当然何度も日本の病院で検査をしているのである。

 

外科的には異常なしのストレス性の胃痛と診断されてきた。

 

胃痙攣にもよくなるし、胃潰瘍にもなる。

 

夜間救急にもお世話になったこともあるが、点滴を打ってしばらくすると申し訳ないくらいケロッとしていた。

 

そんな感じで人生を胃痛とともに過ごしてきた私は、先々週の土曜日、また胃痛になった。

 

いつものごとく、湯たんぽで胃と背中を温め、何も食べず、胃に休んでもらうことにした。

 

いつものルーティン。慣れている。

 

今回は食欲がなく、アミノ酸の栄養補給液のようなものを飲んでやり過ごしていた。

 

が、胃痛で目覚めた水曜深夜3時。

 

すこしぬるくなっていた湯たんぽを抱いて痛みを我慢しながらふと考える。

 

今日で5日。

 

太田胃散も湯たんぽも絶食もなんら功を奏していない。それどころか日に日に酷くなっている。

 

慌ててベッドのどこかに転がっているスマホを探し、半目でググる

 

薄暗い部屋の中でのグーグル先生の診断は盲腸という二文字であった。

 

盲腸?

 

胃と盲腸との距離はけっこうあるのに、盲腸とはどういうことなのか。

 

痛いのは胃であって盲腸ではない。

盲腸がどこに位置しているのか正確には知らないが右下にあるというのは知っている。

 

はて?

 

思ってもみなかった診断を下すスマホをしばらく見つめるしかなかった。

 

でも言われてみれば、胃から下腹に痛みは移行しかけていて、2,3日前には右下腹がジリジリと数秒痛むことがあった。

 

でも盲腸になるわけがない。そんな確信があった。

 

盲腸は痛みで七転八倒すると聞いていたし。

こんな、ダラダラと鈍い痛みが続く盲腸なんてないと思ったからである。

 

そんなことを考えながら、痛みとともに意識が薄れていった。

と言っても睡魔で眠っただけで、眠れるほどの痛みだった。

 

絶対盲腸なわけはないのである。

 

それでも翌朝、覚悟を決めて行くことにした。

 あんなに恐れていた中国の病院に。

中国では絶対にお世話にならないと誓っていた病院に。

 

誓いを破ってまで行くことに決めたのは、いつもと違う変な予感なようなものがあったからだと今思う。

 

 

何か不気味なものを感じながら、それでも結局は笑って帰れると半分は期待しながら、"まさか"と"多分"の間で揺れる自分を俯瞰しながら、あんなに嫌だったチャイナの病院の門をくぐってしまったのである。

 

こうして、胃痛と共に二人三脚で歩んできた人生に、盲腸という別世界の有名人が突然踏み込んできたのであーる。

 

 

つづく。